神藤秀人

d design travel 
編集長

『d design travel』編集長/d47 design travel storeディレクター 1980年生まれ。
2012年D&DEPARTMENT PROJECTに参加。
『d design travel』の編集・執筆・ 写真撮影など制作の全般を担当する他、渋谷ヒカリエ・d47 MUSEUMで開催する『d design travel』と連動した展覧会の構成を担当。
毎号、特集する県を車で走り回り、展示物をピックアップする旅にも出る。2021年5月下旬から約2ヶ月間かけて富山県に滞在して、最新刊「富山号」を取材中。

Studyデザインの視点で地域を再編集する価値を考える

Comment- 勉強会を終えて -

d design travelは、わたしの旅のお供に必要な存在だ。この本を頼りに地域を旅すると、何とも言えない豊かな気持ちになる。

それはどうしてなのか。

「デザイン」というものの考え方にそのヒントがある気がして、今回の企画を行った。

2つものがあるとして、どちらを選ぶのか…。

そんな問いから始まった神藤さんのお話は「ものの背景を知る」こと、「長く続くもの」の価値、そしてそれを「応援しあう」ことが必要なことなど、ロングライフデザインのことを中心に話しながらも、地域のことや食・農業のこととリンクする大切な視点を与えてくださった。

ある意味「面倒なこと」は、暮らしを、人生を豊かにしてくれる、とわたしは感じている。(松尾)

神藤秀人

d design travel

編集長

霞ヶ関ばたけへのメッセージ

これまで『d design travel』を通して、複数の県を旅して来ましたが、その都度思うことが、「地産地消」への意識。食というキーワードを掲げる人ならば、外すわけにはいきませんよね。少し昔は、珍しいことだったかもしれませんが、最近ではどこ行っても当たり前。いい世の中になったものです。さて、ではそういう活動が本当に「美しい」かどうかーーそれが、僕たちの掲げるテーマ「ロングライフデザイン」なのです。やればいい、は、誰でもできるでしょう。要は、それがきちんと循環していく仕組みがあり、お客さんに常に刺激を与え続けていく創意があるか。

この地域はニンジンが名産なのよ、と聞かされて、ニンジンご飯や、ニンジンサラダ、キャロットケーキ……ここまでは容易に思いつく地産地消。例えば、クラフトビールの副原料にしたり、ニンジン収穫体験できるレストランや、ニンジンの素敵なギフトボックス(使い方などが冊子になっていたりするといいですね)など、楽しませる工夫があったらいい。それが、デザイン的視点で、きっとこれからの日本中で活躍する皆さんに必要になってくる「息の長い個性」ではないでしょうか。

自然な暮らしの中で、いいことしてるぞ! ではなく、普段の習慣が、いいことに繋がっている。それが、僕たちの目指す、地産地消なんでしょうね。

長くなりましたが、霞ヶ関畑にお集まりの皆さん、今回はお呼びいただきありがとうございました。こんなに地域のことに目を向けて活動している人が、自然と集まる場所があるって、素晴らしいことです。無理のない持続性を持った勉強会。この会自体も、僕はデザインだと思います。これからも続けていってくださいね。そして、今回はオンラインでしたが、今後、地方でオフラインで出会える日を楽しみにしています。