小谷あゆみ

農ジャーナリスト/フリーアナウンサー 

石川テレビ放送を経て2003年からフリー。畜産番組リポーターとして全国の牧場と生産者を取材。訪ねた市町村は1000を超える。

また野菜をつくるベジアナとして、農ある暮らしの豊かさを発信し、都市と農村のフェアな関係をめざす。

NHK「ハートネットTV介護百人一首」司会。農水省・世界農業遺産等専門家会議委員、棚田学会評議員ほか。

エフエム世田谷「畑の力らららラジオ♪」パーソナリティとして都市の農ライフや農業の魅力を伝える。

ブログ:ベジアナあゆの野菜畑チャンネル

※2020年8月30日開催

Studyニュー農マル時代!都市から始まる帰巣本“農” 〜ベジアナは見た!東京のローカル回帰〜

Comment- 勉強会を終えて -

「ベジアナ」として活躍されている小谷さんのことを知ったのは、かなり前。
それも直接ではなく、ネットか何かの情報を通じてだった。

昨年の夏に開催された「棚田学会」で、本物の小谷さんにお会いした。テキパキとした動き、パネルディスカッションのファシリテーションをその美声でこなされる姿に、純粋に憧れた。

小谷さんは、生産者と消費者という区別を超え、むしろその両者が1人の人間として混ざり合うような暮らしを実践されている。

それは都市で畑を耕すという行為から始まる。

農産物だけでなく、そのストーリーを伝えたり、農の体験ができる機会を増やし、より多くの人にHAPPYになってほしい…そんな小谷さんの溢れるエネルギーをオンラインであっても多くの人が受けとれた時間になったと思う。(松尾)

小谷あゆみ

農ジャーナリスト/フリーアナウンサー

霞ヶ関ばたけへのメッセージ

「霞が関ばたけ」でリモート登壇の機会を頂いたのはコロナ渦の8月。「ニュー農マル時代!都市から始まる帰巣本“農”~ベジアナから見た東京のローカル回帰」と題してお話させていただきました。
これまで全国の農業・農村を取材していましたが、否応なしに自分の足元を見つめ直すことになり、世田谷の体験農園で考え、感じていたことと世の中の動きがピタリとリンクした絶好のタイミングでした。
農業農村の問題で足りないのは、「当事者意識(自分ゴト化)」だとわたしは考えています。
都市の人は食料がどのように作られるかをほとんど知りません。ところが、今回わかったのは知る機会がなかっただけで、「本当はみんな知りたかったんだ」という事実です。

ステイホームによりベランダ菜園やキッチンガーデン、マスクの手作り、DIYなど、消費者だとみなされていた都市住民が、「生産」を始めたのです。誰が仕掛けたブームでもないのに、自然発生・同時多発的に、しかも世界中の人々が、「作り始めた」のです。これを帰巣本“農”、農への回帰と呼ばずになんととらえるのか。
都市の密やストレスを、農の側が解決できる。その余地がたくさんある。(生産者だけが生産を担うことはない、むしろ農を開放してあげるべき)。そう、強く確信しました。
この「帰農」ムーブメントをどう人々のライフスタイルに浸み込ませ、当たり前にしていくか。
都市サイドと農サイド双方の意識改革、アプローチ、交流、関係が必要です。

「霞が関ばたけ」の最大のおもしろさは、双方向です。松尾さんをはじめ農水省の若手職員の皆さんのやる気、本気度、情熱が肌感覚で伝わってきます。(しかも楽しんでやっている!)参加する人も、グループに分かれるのでおしゃべりしやすく、気さくな交流と意見交換の場です。しかも参加者は基本、問題解決意欲の高い人ばかり。課題解決のヒントやアイデアはこうしたフラットでオープンな場から出てくるのではないでしょうか。

そして今回感動したことは、霞が関ばたけでわたしの話を聞いた後、Oさん(東京都・男性)が家庭菜園を始め、それをSNSで発信するようになったことです。話を聞いてふ~んで終わりではなく、行動してくれた。一人の人間の生活スタイルを変えた!!すごいイノベーションです。参加した40人のうち1人でも行動してくれれば、2.5%の行動変容です。きっと他の皆さんも農業や農産物を見る目が変わったり、何かしら変化があると信じています。こんなに楽しいことありません。

「霞が関ばたけ」は、関わる人の意識をどんどん耕して、様々な新しい実りを生み出す畑です。