秋津元輝
京都大学大学院農学研究科
教授
京都大学大学院農学研究科生物資源経済学専攻教授。1960年生まれ。
専門は、農業・食料社会学、食農倫理論。
日本農村に関する研究から出発して、現代の農業や農村を支えるには、むしろ食や都市側からアプローチするべきという信念に至る。
ここ数年間は、京都市、亀岡市などで市民参加型の研究活動を実践してきた。
放浪好きの気質から、これまで韓国、中国、タイ、タンザニア、ハンガリーなどでの農村調査や、欧米での食政策調査を経験している。
Studyローカル・フードポリシーで救う食と農の未来
Comment- 勉強会を終えて -
秋津先生の第一印象は「教授」っぽくない。
もちろん、良い意味で。
それは、抽象的な概念や「コト」を深めるだけでなく、それぞれの「ヒト」に関心をもって探究されているからだと思う。
『農業と経済』の再創刊を記念して開催した今回の霞ヶ関ばたけでは、秋津先生から農水省が提示する「みどりの食料戦略システム」に対する根本的な問題提起があった。
それは、食と農に関わるステークホルダーの参加を前提とした政策形成プロセスが必要ではないか、ということ。
それを「ローカル・フードポリシー」という概念と、京都市・亀岡市で既に始まっている「食と農の未来会議」についてご紹介いただいた。
政策形成プロセスの在り方の議論そのものが新しく「確かにそうだなぁ」と思う一方で、「では、そのステークホルダーをどのようにして巻き込むのか、どうやって合意形成していくのか」など、いろんな論点があるように感じ、まずは京都での事例の成果を踏まえて、さらに理解を深めていきたいと感じた。(松尾)
秋津元輝
京都大学大学院農学研究科
教授
霞ヶ関ばたけへのメッセージ
教授になって、歳もとってくると怖いものがだんだんと無くなります。研究だってもうそこそこでいいので、残された時間を次の社会のために、というと聞こえはいいが、残したいことを一直線にという気持ちになれます。
私の課題は、個室化して分断された政策を食を核としてローカルな場から総合するフードポリシーを各自治体に埋め込んでいくことです。この挑戦は、私が元気なうちに叶わないかもしれない。なので今回、霞ヶ関ばたけで話せる機会をいただき、若い皆さんに伝えることができて、まさしく明日につながる畑にタネをまけた思いです。
この歳になってもぶらぶらして人と出会うことが好きなので、一緒に考えたいという方がいらっしゃれば、時間のある限り、出向いてお話ししたいと常に夢みています。ローカル・フードポリシー、なんだかワクワクするなという場合にはぜひにお声かけください。