青山 豊久&井上 脩子

農林水産省 

青山豊久(棚田女子プロジェクトメンター/農林水産省 研究総務官)
1965年岐阜県多治見市生まれ。東大法卒。
1988年農林水産省入省。 四万十川源流の高知県梼原町役場へ出向、千枚田に魅了される
1992年、我が国最初の棚田オーナー制度を企画。 霞ケ関に戻って数年後、食料・農業・農村基本法の作成に携わり、 農業の多面的機能などを条文化。
林野庁林政課長、農林水産省官房秘書課課長などを経て、2018年より現職。
スマート農業の推進や農業データ連携基盤を担当。
家族は妻と二女一男。玄米食を愛し、 腸内細菌叢への影響を医学的エビデンスで示したいと構想中。

井上 脩子 (棚田女子プロジェクト代表/農林水産省 農村振興局 総務課 法令係長)
学生時代中南米等を放浪する中で、地球の自然の美しさと民族文化の尊さに魅了され、自然や文化を守ることを仕事にしたいと決意。紆余曲折を経て2013年農林水産省に入省。入省後、6次産業化の推進、マグロ・カニ等の貿易制度作り、働き方改革の制度作りに携わった後、2017年秋から担当として棚田地域振興の検討を開始。1年足らずで異動となったが、担当として出会った関係者を応援し多くの魅力的な棚田を存続させるため、同じ思いを持つ省内の仲間を見つけ、棚田のポテンシャルを引き出す活動を農水省公式のプロジェクトとして開始。

※2019年9月25日開催

Study棚田について考える~高知県梼原町から棚田女子まで~

Comment- 勉強会を終えて -

2018年12月に農林水産省の有志の女性職員5名から始まった「棚田女子プロジェクト」。実はわたしもメンバーの1人である。

今回の霞ヶ関ばたけでは、今ではよく耳にする「棚田オーナー制度」の原点から「棚田女子プロジェクト」に至るまでの流れを、その”当事者”である二人に話してもらった。

わたし自身も大学時代に「農村」で半年生活していたことがあり「棚田」というキーワードは知っていた。けれど、その棚田でどんな営みが行われているかについては知らなかった。わたしはこのプロジェクトを通じて、コメをつくる過程や農村をよりリアルに知った。コメの販売だけで「業」として成り立たせるのはなかなか難しい一方で、棚田に「なぜか」惹きつけられる人の存在を知った。

私たちもその人たちであるのだけれど、こうしたコミュニティを通じて棚田の未来をつくっていきたいと思う。この霞ヶ関ばたけがそのコミュニティの1つである。(松尾)

青山 豊久&井上 脩子

農林水産省

霞ヶ関ばたけへのメッセージ

30年前、四万十川源流の高知県梼原町神在居(ユスハラチョウカンザイコ)で「千枚田」に出会いました。
当時も減ったとはいえ、神在居で稲作する方はいらっしゃいましたが、売るためではなく自分や家族が食べるためのものでした。
険しい山あいで精緻な水路をひいて、こんな石積みの構造物をよくも作ってきたなという感慨と、それが急に失われても良いものかと疑問に思いました。
四万十川源流にちなみ「四万十円」の料金で始めたオーナー制度。保全された棚田は、神在居を訪れた若き日の隈研吾氏にも感動を与え、その後の木造建築に活かされました。霞ヶ関ばたけで皆様にご紹介できて良かったです。
棚田で苦労して作ってきた水稲は、連作障害もない優れた農作物でした。最近では、アレルゲンがほとんどないことや、ヒトの腸内細菌叢に作用して免疫力に好影響を及ぼすことが科学的に分かってきました。
時を経て価値観も変わって来ましたが、棚田で穫れた玄米をみんなで食べて健康になりましょう。(青山)

霞が関ばたけ、とても楽しかったです。大手町での社会人勉強会でこんなに「棚田」が認知されたところから話をスタートできるとは思っていなかったので、さすが参加型の勉強会だなぁと驚きました。棚田応援団を一気に見つけられた気分です。参加者の皆さんとは今後も檮原フィールドワーク等を通じて繋がっていきたいです。
素敵な出会いの場をありがとうございました!(井上)